虐待につながる「不適切ケア」
不適切なケアを防ぐための振り返りポイント
日ごろのケアのなかで気をつけたい行為や言動に対して、自分自身を振り返るためのポイントを下記に挙げました。
1 急がせていないか
決められたスケジュールを守ろうと、行動をせかしたり、利用者が納得していないのにケアを始めたりすることは、利用者の人権を無視したケアになります。
2 目を見て話しているか
利用者の背後から話しかけたり、利用者の目を見ずに行うケアは、利用者に不安を与えます。しっかり相手の目を見て笑顔で「あなたのことを大切に思っています」というサインを伝えることが必要です。
3 人として尊重しているか
本人の目の前で認知症であることを話題にしたり、子どもに対するような接し方をしたりするなど、自尊心を傷つける言葉や態度には注意しましょう。常に利用者を敬う気持ちを持ち続けることが大切です。
4 利用者の自立を妨げていないか
利用者のペースを無視して必要以上に手を出すことは、その人ができることを奪っているということです。相手の能力を見極め、安全にできるかどうかを見守る配慮が必要です。
5 高齢者の身体状況が想像できているか
高齢者の体は、老化や疾患により骨や皮膚がもろくなったり、動作が緩慢になったり、また排泄障害が現れたり、といったことがよくあります。常に高齢者特有の心身の状態を想像し、ケアを行うことが必要です。
監修/ケアホーム西大井こうほうえん施設長 田中とも江
上川病院総師長在職中から「縛らない看護」に取り組む。以来、拘束廃止、虐待予防に携わり続け、「抑制廃止福岡宣言」(1998年)、「九州宣言」(1999年)のきっかけをつくる。2009年より現職。拘束廃止研究所所長。NPO法人シルバー総合研究所理事。
文/高野千春 イラスト/尾代ゆうこ
上川病院総師長在職中から「縛らない看護」に取り組む。以来、拘束廃止、虐待予防に携わり続け、「抑制廃止福岡宣言」(1998年)、「九州宣言」(1999年)のきっかけをつくる。2009年より現職。拘束廃止研究所所長。NPO法人シルバー総合研究所理事。
文/高野千春 イラスト/尾代ゆうこ