虐待につながる「不適切ケア」
虐待につながる不適切ケア事例~日常のケア
こんなことも不適切ケアに
トイレの使用を制限する
頻繁に尿意を訴える利用者を、「さっき行ったばかりだから」と制止したり、あと回しにしたりすることは不適切ケアに当たります。入浴前のトイレなどが習慣になっている場合や、膀胱の機能低下によって残尿がある場合もあります。本人の意思を優先しましょう。
嫌がるのに入浴させようとする
「何日も入っていないから」「清潔にしてあげたいから」と、嫌がる利用者を無理に入浴させることは不適切ケアです。なぜ嫌なのか、本人に理由を尋ねることから始めましょう。そこには意外な原因があるものです。
茶碗におかずを全部のせる
食が進まないからといって、いろいろなおかずをすべてご飯にのせて利用者に食べさせるのは不適切ケアです。食事を楽しむ自由を奪うだけでなく、味も落ちてしまいます。食事に効率を持ち込んではいけません。
自分で食べられるのに食べさせる
自力で食事ができるのに、 時間がかかるからといって食事介助を行うことは、利用者のできることを奪うことになります。利用者の能力を維持するため、また食べた満足感を残すためにも、本人に確認したうえで「できることは自分でやっていただく」ことが必要です。
監修/ケアホーム西大井こうほうえん施設長 田中とも江
上川病院総師長在職中から「縛らない看護」に取り組む。以来、拘束廃止、虐待予防に携わり続け、「抑制廃止福岡宣言」(1998年)、「九州宣言」(1999年)のきっかけをつくる。2009年より現職。拘束廃止研究所所長。NPO法人シルバー総合研究所理事。
文/高野千春 イラスト/尾代ゆうこ
上川病院総師長在職中から「縛らない看護」に取り組む。以来、拘束廃止、虐待予防に携わり続け、「抑制廃止福岡宣言」(1998年)、「九州宣言」(1999年)のきっかけをつくる。2009年より現職。拘束廃止研究所所長。NPO法人シルバー総合研究所理事。
文/高野千春 イラスト/尾代ゆうこ