虐待につながる「不適切ケア」
【不適切事例2】「待っていてください」と声をかけています
食事に時間のかかる利用者を先に配膳しています。Bさんは「私のはまだなの?」といつも聞くので、その度に「待っていてください」と声をかけています。
このケアの何が問題なのでしょう?
【ここに注意!】効率を考えたサービスの仕方ですが、Bさんは理由がわからないので不安になってしまいます。
ほかの人を先に配膳する理由を事前にBさんにきちんと説明し、理解してもらうような働きかけが必要でした。また、「あとで(次に)お持ちしますね」という声かけをして、必ず持っていくことを示すのも有効です。それでも納得できない人には、先に食事を持っていくことを検討します。配膳の順番は、状況により職員同士で話し合い、優先順位を決めるといいでしょう。
食事は利用者にとって大きな楽しみです。それを待つ人の気持ちを理解して、配慮することが大切です。効率を重視することで、利用者に不快な思いや不安を感じさせないよう注意しましょう。
監修/ケアホーム西大井こうほうえん施設長 田中とも江
上川病院総師長在職中から「縛らない看護」に取り組む。以来、拘束廃止、虐待予防に携わり続け、「抑制廃止福岡宣言」(1998年)、「九州宣言」(1999年)のきっかけをつくる。2009年より現職。拘束廃止研究所所長。NPO法人シルバー総合研究所理事。
文/高野千春 イラスト/尾代ゆうこ
上川病院総師長在職中から「縛らない看護」に取り組む。以来、拘束廃止、虐待予防に携わり続け、「抑制廃止福岡宣言」(1998年)、「九州宣言」(1999年)のきっかけをつくる。2009年より現職。拘束廃止研究所所長。NPO法人シルバー総合研究所理事。
文/高野千春 イラスト/尾代ゆうこ