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介助・ケア

利用者を守るための災害への備え

利用者の就寝直後、深夜に起こった熊本地震

利用者の就寝直後、深夜に起こった熊本地震

近年、日本各地で地震や水害などの災害がたびたび起きています。要介護の高齢者を抱える介護施設は、どのように備え、どのように対応すれば利用者の命を守ることができるのでしょうか。熊本地震で被災した「グループホームせせらぎ」の実例をもとに、災害に対する介護職としての備えを考えていきましょう。

熊本地震の大きな特徴は、震度7の大きな揺れが、極めて短期間のうちに同じ地域で2回も起きたということです。一度目は、2016年4月14日21時26分。熊本県熊本地方を震源とする、震源の深さ11km、マグニチュード6.5の地震で、いわゆる「前震」であったと考えられています。多くの介護施設にとっては、利用者が就寝した直後に発生した災害でした。

しかし、地震はそれで終わったわけではなく、その28時間後の4月16日1時25分に、震源の深さ12km、マグニチュード7.3の本震が起きました。一度目の揺れが落ち着いたあとに避難所から帰宅し、深夜の二度目の地震で被害に遭った人も少なくなかったそうです。

この一連の地震により、甚大な被害が引き起こされました。建物の倒壊や土砂崩れなどにより死亡した人は50人(直接死)。避難生活による体調悪化などが原因と思われる震災関連死、そして豪雨災害における死者も含めると、250人以上が犠牲になったことがわかっています。

また、震災直後はライフラインが寸断され、電気、水道が止まりました。熊本空港は閉鎖され、新幹線やバスも運休、道路の多くが通行止めになりました。携帯電話もつながりにくく、一時はメールすらできない状況でした。

熊本地震に際して設置された避難所は県内だけで855か所で、避難者数は最大で18万3882人にのぼったのです。

「グループホームせせらぎ」は、この地震で大きな被害を受けた熊本県上益城郡にあります。震災時は要介護4〜5の認知症の利用者が9人。一度目の地震は、利用者の就寝直後に起こり、夜勤のスタッフ2名で対応しました。激しい揺れの続くなか、どのように利用者を守り、その後の避難、被災生活を乗り越えてきたのでしょうか。

『レクリエ2018 11・12月号』で震災から復興までの歩みと、体験をもとにした災害時の備えを見ていきましょう。

監修/高橋恵子(有限会社せせらぎ代表・グループホームせせらぎ管理者)
看護師、介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉主事、認知症ケア専門士(上級)。グループホームのほか、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、小規模型通所介護事業所などを運営。著書に『大地震から認知症高齢者を守れ!!』(ぱーそん書房)がある。

文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/藤原ヒロコ
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この記事が掲載されている号

レクリエ 2018 11・12月号

レクリエ 2018 11・12月号

52ページに掲載

おもなレク
  • 11・12月の壁画「三角リースのクリスマスツリー」
  • 11・12月の制作「はりこの亥(いのしし)」
  • 自立支援のための上肢を動かすレク
  • 利用者を守るための災害への備え
  • 牛乳パックで作業療法的トレーニング
  • 事例別認知症ケア~こだわりへの対応

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