利用者を守るための災害への備え
【備え2】日頃から地域とのつながりを意識
日頃から地域とのつながりを意識しておく
その時、せせらぎでは……
デイルームで余震におびえながら待機していたところ、深夜になって大きな揺れが。駆けつけてくれた地区の区長と消防団長が「もう避難したほうがいい」と言うので、近所の人の助けも得ながら近くの公民館へ移動。区長と消防団長が「ここに全員を移動させて!」などと指示を出し、利用者を布団ごと担架のように運んでくれた。区長は、その後、がれきの片づけなども手伝ってくれた。
地域とつながるために心がけたいこと
大きな災害では、すぐに行政からの支援が来るとは限らないため、自助が基本と考えておきましょう。多くの高齢者を抱える介護施設にとって、非常時に頼れるのは地域の人々。日頃から、事業所の存在を知ってもらうことを意識しておきましょう。
あいさつや行事への参加を欠かさない
地域連携の基本は、日頃からのあいさつです。さらに、地域の清掃活動や消防訓練、お祭りなどの行事へも可能な限り参加しましょう。その際、炊き出しを担当するのもよいでしょう。近隣住民はもちろんのこと、町内会長、消防団、民生委員などと顔見知りになっておくことで、災害時にも支援を得ることにつながります。
運営推進会議などを活用したネットワーク作り
地域密着型の施設の場合、6か月に1回以上、運営推進会議を行うことが義務づけられています。その場を利用して地域住民の代表者(町内会長、民生委員など)や利用者の家族に、災害時の支援をお願いしておきましょう。
『レクリエ2018 11・12月』では物資の分配や炊き出しなどの「備え」について、より深く掘り下げています。
看護師、介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉主事、認知症ケア専門士(上級)。グループホームのほか、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、小規模型通所介護事業所などを運営。著書に『大地震から認知症高齢者を守れ!!』(ぱーそん書房)がある。
文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/藤原ヒロコ