利用者を守るための災害への備え
【備え3】普段の食材を多めにストック
災害食を食べられない利用者も多い。普段の食材を多めにストックしておく。
その時、せせらぎでは……
避難所で配られる乾パン、カップ麺、おにぎり類は、嚥下機能の問題などで食べられない利用者が多かった。特に認知症の利用者は、麺をすすれないことが少なくない。何とか食べてもらおうと、おにぎりに水を加え、スプーンでつぶしながら食べてもらった。お湯を沸かせるようになってからは、レトルトカレーでとろみをつけたり、備蓄してあった味噌や野菜で味噌汁を作ったりして対応した。
災害用食料備蓄のポイント
乾パンやフリーズドライなど、いわゆる「非常食」は、高齢者の口に合わなかったり、食べるのが難しかったりすることも。栄養状態の悪化は体調不良に直結しますから、できるだけ普段と同じような食事ができるよう、あらかじめ準備しておくことが大切です。
保存のきく食品を多めにストックする
普段から保存がきく食品(米、味噌、乾物、根菜など)を多めにストックし、使った分だけ買い足すことを習慣にしましょう。また、それらの食材を屋外で調理できるよう、バーベキューコンロや屋外用の簡易かまどなどで炊き出しの練習もしておきましょう。
不足する栄養はジュースや乾物で補う
災害時の食事は、ごはんやパンなどの炭水化物や塩分が多くなり、タンパク質やビタミン・ミネラル類が不足しがちです。野菜ジュースや魚の缶詰、豆類の水煮、ドライフルーツ、ドライトマトなどを活用すると、それらの栄養素を補うことができます。
『レクリエ2018 11・12月』では炊き出しのときの感染症予防についても紹介しています。
看護師、介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉主事、認知症ケア専門士(上級)。グループホームのほか、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、小規模型通所介護事業所などを運営。著書に『大地震から認知症高齢者を守れ!!』(ぱーそん書房)がある。
文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/藤原ヒロコ