自立を促す介助
浴槽での立ち上がりと介助[1]
浴槽には湯が張ってあるので、そこで立ち上がる時は、上半身を前に倒しすぎると頭が湯に浸かってしまいます。水の浮力を利用すれば、少ない力で体を浮かすことができるので、浴槽前方の縁や手すりを使って少しの前傾で立ち上がれます。
入浴の際の浴槽での立ち上がりは、滑りやすい環境なので注意が必要です。浴槽からの立ち上がりのポイントを見てみましょう。
[1]浴槽の前方の縁や手すりなどに手をかける
浴槽の前方の縁や手すりなどをつかみ、両足を少し開いて膝を立てる。ふくらはぎと太ももの裏の距離が近いほど、前への力が少なくてすむ。足の裏をしっかり浴槽の底につける。
介助のポイント
・介助者は浴槽の外に立ちますが、利用者の足が浮く場合は、湯の中に足を入れ、自分の土踏まずで利用者の足を軽く押さえます。
・湯の量が多いと浮力は大きくなるものの、その分、転倒の危険性が高まるので、湯の量は少なめのほうがよいでしょう。
[2]お尻を上げる
浴槽の縁や手すりをしっかり握り、体を前に倒してお尻を持ち上げる。
介助のポイント
お尻が持ち上がらない時は、お尻を少し浮かせてもらい、できた空間に介助者が手を差し入れ、軽く押し上げます。
[3]立ち上がる
立ち上がり、足の裏にしっかり体重をのせる。
医療法人湖青会 理学療法士/出野智子
金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科(現・金沢大学医学部保健学科理学療法科)卒業。滋賀県立小児整形外科センター(現・滋賀県立小児保健医療センター)などを経て、2000年より医療法人湖青会で幼児から高齢者までを対象とした訪問リハビリテーションを中心に従事。著書に『リハビリテーションの考え方をとりいれた介助のしかた』(日本医療企画)がある。
イラスト/藤原ヒロコ
金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科(現・金沢大学医学部保健学科理学療法科)卒業。滋賀県立小児整形外科センター(現・滋賀県立小児保健医療センター)などを経て、2000年より医療法人湖青会で幼児から高齢者までを対象とした訪問リハビリテーションを中心に従事。著書に『リハビリテーションの考え方をとりいれた介助のしかた』(日本医療企画)がある。
イラスト/藤原ヒロコ