自立を促す介助
浴槽での立ち上がりと介助[2]
浴槽側方(そくほう)に手すりがある場合は?
手すりが浴槽の側方についている場合は、手すりをつかんで上半身を前に倒そうとすると、体が後ろに倒れるような力が加わります。しかし、体は手すりを握った手で固定されているので、前に倒れることはできず、お尻だけが前に滑っていき、浮力も加わって体が浮き上がってしまいます。
また、側方の手すりを押して上半身を前に倒そうとすると、体を引き上げるような力が加わります。しかし、両足に体重がのっていないので、立ち上がることはできません。
したがって、やむを得ず側方の手すりを使う時は、できるだけ手すりの前の方をつかむようにしましょう。
医療法人湖青会 理学療法士/出野智子
金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科(現・金沢大学医学部保健学科理学療法科)卒業。滋賀県立小児整形外科センター(現・滋賀県立小児保健医療センター)などを経て、2000年より医療法人湖青会で幼児から高齢者までを対象とした訪問リハビリテーションを中心に従事。著書に『リハビリテーションの考え方をとりいれた介助のしかた』(日本医療企画)がある。
イラスト/藤原ヒロコ