介護現場のリスクマネジメント
「ヒヤリ・ハット報告書」のリスク要因から対策を立てる~その[1]
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「ヒヤリ・ハット報告書」をどう分析するか~その[1]
「ヒヤリ・ハット報告書」をどう分析するか~その[2]
「ヒヤリ・ハット報告書」をどう分析するか~その[3]
ヒヤリ・ハット報告書の最終目的は、分析の後に有効な対策を立てることです。前回までに取り上げた要因分析の手法を振り返りつつ、施設のシステム改善に役立つ対策立案と実行に向けたアクションプランの立て方について、事例を見ながら考えてみましょう。
■4つの窓で要因分析をして対策立案にとりかかる
前回は、収集したヒヤリ・ハット報告
書から緊急度の高いものを抜き出し、それを分析する方法をご紹介しました。分析は、そのヒヤリ・ハットがなぜ発生したのか、要因を洗い出すために行います。要因を抽出しやすい「背景要因分析」という手法を採用し、「人的要因」「設備的要因」「環境的要因」「管理的要因」の4つの窓に分けて考えました(図1)。人的要因だけはさらに深掘りし、他の3つの窓に振り分けます。今回は、この分析を踏まえて、ヒヤリ・ハットの最終目的である対策立案をしていきます。
要因分析に力を注いでいる施設は少なくありません。しかし、重要なのは分析で得られた要因の一つ一つに対策を立てることです。さらに、組織内で実際にどのように実行するかを「アクションプラン」として提案します。この一連の作業は、「対策立案シート」を活用するとスムーズにできます。
■要因の語尾を言いかえて「根本的対策」で方向を示す
対策立案シートは、次の順に書き込みます(★)。 [1]分析で得られた要因に対する「根本的対策」を書き込む。[2]「根本的対策」から「具体的対策」を導き出す。[3]「アクションプラン」を立てる。[4]優先度を決定する。
要因から根本的対策を立てる際は、ちょっとしたコツがあります。要因を示す文章の多くは「~が足りない」「=がされていない」など否定的な言葉が使用されますが、この語尾を「足りる」「できる」「する」と置きかえ、肯定的、つまり“do”の形にするのです(図2)。文末だけかえると、日本語としては少しおかしな表現になることもありますが、気にしないこと。
[図2]クリックで拡大します
文末をかえた時に、まったく意味が通らなかったり、介護現場ではありえない内容になってしまう場合があります。これは、もとの文章が要因ではなく問題点や事例になっている可能性がありますから、要因分析をし直して、根本的対策へ変換します。
損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社医療リスクマネジメント事業部上席コンサルタント。看護業務に従事した後、現職。全国の医療機関や介護福祉施設向けのリスクマネジメント体制構築支援業務を行っている。
この記事が掲載されている号
レクリエ 2014 7・8月号
76-77ページに掲載ページに掲載
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