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介護現場のリスクマネジメント

「ヒヤリ・ハット報告書」をどう分析するか~その[1]

「ヒヤリ・ハット報告書」をどう分析するか~その[1]

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「ヒヤリ・ハット報告書」はなぜ必要か~その[1]
「ヒヤリ・ハット報告書」はなぜ必要か~その[2]
「ヒヤリ・ハット報告書」はなぜ必要か~その[3]

収集したヒヤリ・ハット報告書をリクスマネジメントに生かすためには、これらを分析することが必要です。ただし、分析の目的は、あくまで対策を立てることであることを意識しておきましょう。

■ヒヤリ・ハットは管理職に集約し、一気にチェック
スタッフが一定期間に提出したヒヤリ・ハット報告書は、部署ごとに検討するのではなく、管理職のもとにすべて集めます。安全委員会などの機関が設置されていれば、そこに集約してください。

ここで、分析すべきヒヤリ・ハットを抜き出します。その際に注意したいのは、ヒヤリ・ハットは期間を決めてまとめてチェックするということ。そうすると、その施設で陥りやすいリスクが自然と浮かび上がってきます。数多くのヒヤリ・ハットの中から、「新人はこんなことが不安なのか」「この現場はこの時間帯が忙しい」といった、リスクを伴う情報が客観的に見えてくるのです。この作業には、さまざまな角度から組織やスタッフの現状を把握できるという副次的なメリットもあります。


■施設のリスクになるヒヤリ・ハットを抜き出す
よいヒヤリ・ハット報告書からは、システム改善に役立つたくさんの情報を得ることができます。では、分析すべきヒヤリ・ハットはどのように選び出せばよいのでしょうか。ポイントは、[1]組織全体のリスクになり得る、[2]ルールをつくればリスクを回避できる、の2点です。

同じようなヒヤリ・ハットが多数あれば、施設全体に共通するリスクや傾向があると判断できるでしょう。一方、利用者がお茶をこぼして危なかった(スタッフのヒューマンエラーによる)、レクリエーションでトラブルになりそうだった(利用者の心身の状態による)などの個別の事例には組織としての対策は立てられません。

転倒や誤嚥も利用者の内的要因に起因するため個別対策が必要な事例といえます。ヒヤリ・ハットで分析すべきなのは、スタッフが目を離したすきにベランダに出てしまった、など組織として対策を立てることで防げる事例です。

【要因分析の手順とポイント】
■手順
1.ヒヤリ・ハットは管理職集約しチェックする
2.施設のリスクになるヒヤリ・ハットを抜き出す
3.緊急度が一番高いヒヤリ・ハットを優先する
4.さまざまな職種、部署からなるグループを作成
5.一人ひとりが分析し、定期的にグループで分析

■ポイント
分析作業は業務の一環として行う。重要なのは、分析のあとの対策立案。

※泉 泰子
損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社医療リスクマネジメント事業部上席コンサルタント。看護業務に従事した後、現職。全国の医療機関や介護福祉施設向けのリスクマネジメント体制構築支援業務を行っている。

この記事が掲載されている号

レクリエ 2014 5・6月号

レクリエ 2014 5・6月号

76-77ページに掲載ページに掲載

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