“理由” を探るレッスン
排泄(はいせつ)ケアがうまくいかない利用者の理由と対応のポイント
アセスメントをもとに、排泄ケアがうまくいかない理由と対応を探ろう!
ポイント[1]
オムツの場合、不快そうな様子はあるか
利用者の反応:気にならない様子
考えられる理由:オムツの性能がよく、不快感を覚えない、あるいは嗅覚が落ちている?
対応の例:
・トイレに誘導し、オムツがいっぱいになっていることを説明してみる
ポイント[2]
「トイレに行きましょう」の声かけにどんな反応だったか
利用者の反応:ピンときていない様子
考えられる理由:「トイレ」という言葉がわかりづらい?
対応の例:
・「便所」「お手洗い」「かわや」「はばかり」など、その人にとってなじみがあり理解しやすい言葉を使う
・実際にトイレが見えたり、水の流れる音が聞こえたりする場所で声をかける
ポイント[3]
排泄の動作はどこまでできるか
利用者の反応:トイレまで行っても、スムーズに排泄できない
考えられる理由:一連の動作のうち、できない部分がある?
利用者の反応:
・下着を下ろす、便座に座る、排泄する、後始末する、下着を上げるなどのうち、どの動作でつまずいているのかを観察し、できるために必要な声かけや手助けをする
ポイント[4]
排泄を障害するような疾患はないか
利用者の反応:排泄の回数が少なすぎたり、多すぎたりする/排泄の際につらそうな様子がある
考えられる理由:便秘や下痢、あるいは排泄に関する疾患がある?
利用者の反応:
・医療従事者に相談する
介護福祉士、介護支援相談員、主任介護支援専門員。認知症ケアの観点を増やし、コミュニケーションセンスを磨く研修を提供している。研修オフィス・アプロクリエイト代表、介護老人保健施設名谷すみれ苑主任相談員、コミュニケーショントレーニングネットワーク講師を務める。著書に『“理由を探る”認知症ケア―関わり方が180度変わる本』(メディカル・パブリケーションズ、2014年)がある。
イラスト/尾代ゆうこ