“理由” を探るレッスン
処方された薬を飲まない利用者の理由と対応のポイント
アセスメントをもとに、薬を飲まない理由と対応を探ろう!
ポイント[1]
薬を飲んだか聞いたとき、どんな表情だったか
利用者の反応:不思議そうな顔
考えられる理由:処方された薬があることを忘れてしまった?
対応の例:
・飲むべき薬があることや、どんな効果がある薬なのかを実物を見せながら説明してみる
・食事が終わったタイミングなどで、そのつど薬を手渡しする
ポイント[2]
薬を飲むように声をかけたとき、どんな反応だったか
利用者の反応:「必要ない」と言った
考えられる理由:自分の病気がもう治った(病気でない)と考えている?
対応の例:
・「治った」「治っていない」の押し問答にせず、「病気を防ぐためのお薬ですよ」など薬の効果をわかりやすく説明する
・医師など、医療従事者から直接説明してもらう機会をつくる
ポイント[3]
服薬にあたり、嚥下(えんげ)機能に問題はないか
利用者の反応:むせる/口に含んだまま飲み込めない
考えられる理由:薬の形状に問題がある?
対応の例:
・薬の形状を変更できないか、医師や薬剤師に相談する(粉薬を錠剤や液体にする、今より小さい錠剤にする)
・服薬用のゼリーを使ってみる
ポイント[4]
服薬にあたり、手指の動作に制限はないか
利用者の反応:困った顔
考えられる理由:袋やPTPシートから薬を取り出しにくい?
対応の例:
・袋に切れ目を入れておく、取り出しやすいケースに入れ替える、開封して小皿などに入れて差し出すなどの工夫をしてみる
・薬を一回量包装にできないか、医師に相談する
介護福祉士、介護支援相談員、主任介護支援専門員。認知症ケアの観点を増やし、コミュニケーションセンスを磨く研修を提供している。研修オフィス・アプロクリエイト代表、介護老人保健施設名谷すみれ苑主任相談員、コミュニケーショントレーニングネットワーク講師を務める。著書に『“理由を探る”認知症ケア―関わり方が180度変わる本』(メディカル・パブリケーションズ、2014年)がある。
イラスト/尾代ゆうこ