⽬からウロコの感染予防対策
【感染予防】介護者が“媒介者”にならないための基本施策
介護施設における感染症は、実は利用者ではなく外部との接触の多い介護者が持ち込むことが多いといわれています。介護者が感染症の媒介者にならないための対策が何より大事なのです。
“媒介者”にならないための4つの基本施策
1 流水と石けんによる手洗いと手指消毒
感染経路で多いのが手。利用者と接触する時には必ず手洗いをし、素手でケアをしないようにしましょう。
●ケアの前後に手洗いとアルコール消毒を
必ず1回ごとのケアの前後に手洗い、アルコール消毒薬による手指消毒を徹底する。液体石けんと流水での手洗いがすぐに行えない時は、アルコール消毒薬を使う。
●腕時計や指輪ははずして手洗いをする
時計や指輪などを着けていることで、手首の洗浄、指のまた部分の洗浄が不十分になりがち。洗い残しのリスクを減らす。
2 マスク
感染予防のために、マスクは鼻までしっかりと覆うことが基本。口を覆うだけでは、何も着けていないのと同じです。ケアしたタイミングで1日何回も替えることを徹底しましょう。
3 個人防護具
具体的な症状がなくても、血液や体液、排泄物などに触れる可能性がある時は、必ず着用を。防護具は原則、使い捨て。何度も使ったり、エプロンのまま歩き回ったりすると、汚染が拡大します。
4 体調管理
介護者が感染を拡げるリスクは、利用者以上に高いので、まず自らの体調管理を行うことが重要です。
●体調が悪い時は、無理をしないで仕事を休む
医療機関を受診して感染症にかかっているかどうか調べる。家族が感染した場合も、その日は休んで医療機関へ行くこと。
本誌では、このほか感染を防ぐ標準予防策を具体的に解説しています。
東京医療保健⼤学⼤学院医療保健学研究科感染制御学教授。⽇本看護協会感染管理認定看護師。近畿⼤学医学部附属病院の安全管理部感染対策室看護⻑として、感染制御教育や研修などを⾏い、2013年より同⼤学准教授、2017年より現職。編著に『なぜ︖がわかる⾼齢者ケアの感染対策〇と×』(メディカ出版)がある。
イラスト/さいとうかこみ