継続的な世代間交流
空き教室を活用したデイで地域コミュニティの拠点に【2】
子どもたちにとってもデイでの交流が高齢者とふれあえる大事な機会に
現在、交流の中心となっている5年生は全部で4クラスありますが、各クラスが学期に1度はデイを訪れ、子どもたちが考えたレクリエーションを披露し、利用者と楽しい時間を過ごしています。ほかにも、図工の時間に利用者をモデルにして版画を作ったり、福祉委員会活動としてデイを訪れたりと、多彩な交流が行われています。
「小学校の敷地内にあるため、単発のイベントに終わらず、継続的なかかわりができます」と森下さん。さらに、小学校の6年間だけでなく、保育園・中学校の期間を含め、連続性のある交流を行っているのが大きな特徴です。小学校に隣接する保育園の園児が、お遊戯を披露しに、また近隣の中学校からは、体験学習で訪れる生徒も多く、子どもたちのなかには、保育園→小学校→中学校と、長年にわたってデイの利用者とつながりを持つ子もいます。
「核家族化で、子どもたちも高齢者とふれあうことが少ないので、双方にとっていい機会になっています」と話すのは、同デイの管理者・鳥羽かがりさん。こうした体験をきっかけに、福祉関係の仕事につく卒業生も多く、「ここの小学校出身で、宇治明星園に就職してくれた子が、私が知っているだけでも3人います」と森下さん。
この日、5年1組の子どもたちを引率していた担任の先生によると、「今日は総合の時間を使っていますが、図工や音楽の時間、休み時間も使って、子どもたち自身がお年寄りに楽しんでいただける企画を考え、練習や準備をしています」とのこと。「祖父母世代と同居していない児童も多いので、高齢者とふれあうよい機会になりますね。この経験が、社会に出た時にいろいろな意味で役立つと思います」と語ってくれました。「校長先生も、『この事業のおかげで、子どもたちが自発的に考えるようになっている』とおっしゃっています」と鳥羽さん。こうした交流は、利用者にとって楽しい時間になるとともに、子どもたちにとっても自主性や豊かな人間性を育む機会になっているようです。
文/松崎千佐登 写真/内藤貞保