アニマルセラピーを取り入れたデイ
動物とのふれあいで機能維持・改善を目指す【1】
犬、鳥、ウサギ、ハムスター、熱帯魚……。動物との交流が利用者にもたらすものとは?高齢者・障がい者・障がい児の共生型デイサービス「あ・み・ず」を訪ねました。
施設内にアニマルルームを設け、日々のレクに動物との交流を取り入れて
「あいがあれば幸せに みんななかよく幸せに ずっといっしょで幸せに」との想いから名づけられた「デイサービス あ・み・ず」。みんななかよくの“みんな”は、高齢者だけではありません。ここは介護保険のデイサービスのほか、障がい者、障がい児の放課後デイサービスがある共生型デイ施設です。「高齢の方々と児童がロビーで輪投げをするなど、全員が顔なじみです」と施設長の山田貴志さん。
そして、みんなの癒やしの場となっているのが犬や鳥、ウサギなど動物が集まるアニマルルームです。「あ・み・ず」では2006年の開設時から日常的にアニマルセラピーを行っており、その中心はゴールデンレトリーバーのバルくん(12歳)。開設当初からデイで飼われているバルくんは人間が大好き。利用者がアニマルルームに入ると尻尾をブンブンふって迎えます。そんなバルくんに「仲よしやもんな」と目を細める男性利用者。隣では女性利用者が「『お座り』と言うと、ちゃんと座る。賢いなぁ。よぉし、よし」と頭を撫でていました。
また、ヨウムやセキセイインコは利用者の言葉を覚えて話すのが得意とか。ウサギのチャタは白内障でほとんど目が見えないそう。「チャタは年をとっているから。私と同じや、頑張ろうな」と励ますように声をかける利用者もいます。さらに120cmの水槽には熱帯魚のテトラやミッキーマウスプラティ、ヤマトヌマエビなどが。利用者が「おった、おった」と水草に隠れた魚を探していました。
「“お手”などバルのしつけや餌やりは利用者様がしています。餌をやったり、ウサギを抱いたり、魚を識別して数を数えたり、動物を介した活動が自然に筋力や判断力などの向上につながっています」、と山田さん。動物とのふれあいは喜びや張り合いにもつながっているようです。「『自分が世話しなければ』と通っている方や、『バルに会いたい』と引きこもりから抜け出した方もいます。いくつものデイを見学したもののなじめず、ここで動物と交流するうちに心を開いてくれた方もいました」
動物が「あ・み・ず」を選ぶ決め手となったのは利用者だけではないようです。「犬が描かれた看板を見て『ここで働きたい』と職員に応募して12年」と笑うスタッフもいます。
文/佐藤ゆかり 写真/浦野浩之