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デイ探訪

継続的な世代間交流

空き教室を活用したデイで地域コミュニティの拠点に【1】

空き教室を活用したデイで地域コミュニティの拠点に【1】

少子高齢化が進むなかで生まれたのが、小学校の空き教室を高齢者施設に転用するアイデア。それを日本で初めて実践したデイサービスには、小学校の敷地内ならではの、さまざまな魅力がありました。

世代を超え理解しあう長寿社会の実現をめざし、国内で初めて空き教室を高齢者施設に転用
「これからデイサービスの皆さんとの交流会を始めます。今日のために、みんなで準備や練習をしてきました」

午後のひととき、宇治市小倉デイサービスセンターを、32人の子どもたちが訪れました。宇治市立小倉小学校5年1組のこどもたちです。同デイは、23年前、この小学校の空き教室を利用して設立されました。

以来、その立地を活かして、小学生との交流が盛んに行われています。毎年、1年生と利用者が一緒に七夕の飾りつけをしたり、運動会の踊りなどをデイで披露したり……。なかでも主体となっているのが、5年生との交流会です。

この日の交流会は、リコーダーの演奏に始まり、昔話の音読、さまざまなゲームなど盛りだくさん。利用者たちは、感心しながら演奏に聴き入ったり、ゲームで盛り上がって歓声を上げたりしました。

小学校の空き教室を、高齢者施設に転用するというアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか。

「宇治市で少子高齢化が顕在化したのが平成5〜6年頃。高齢者施設が不足する一方で小学校に空き教室が出はじめました。そこで、使っていない教室を、高齢者施設として活用してはどうだろうという発想が生まれたのです」と、社会福祉法人宇治明星園北宇治地域包括支援センター長の森下良亮さん。

認可などで難関があったものの、国が指定した市町村に許認可などの特例を認める地方分権特例制度(平成5〜11年運用)を活用。「宇治市がめざす『高齢者にやさしいまちづくり』や『世代を超えて理解しあえる明るい長寿社会』にも合致し、全国で初めて、空き教室を利用した高齢者施設が生まれました」(森下さん)

建物の有効利用とともに、小学校の敷地内にあることで、デイサービスとしての大きな特長も生まれました。それが、活発な世代間交流です。

事業の発足当時からデイの利用者と登下校する子どもたちとが声をかけあうなど、自然に交流が生まれたとのこと。その後も、総合的な学習の時間や委員会活動などを通じた活発な交流を続けています。

この日の利用者も、「子どもたちとふれあえる時間が楽しみです」「一緒に過ごすと元気になれますね」と語ってくれました。

社会福祉法人 宇治明星園 宇治市小倉デイサービスセンター(京都府宇治市)
文/松崎千佐登 写真/内藤貞保
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