利用者を守るための災害への備え
知っておくと安心! 災害時ボランティアへの対応
震災後、グループホームせせらぎには、全国から介護・医療関係のボランティアが駆けつけ、物心両面で支えてくれたそうです。こうしたボランティアは専門性があり、滞在時間も長く利用者とも深くかかわるため、一般のボランティアとは対応が異なります。体験をもとに、災害時のボランティアへの対応をお聞きしました。
受け入れるタイミングは?
震災直後から電話やSNSを通じてボランティアの申し出がありましたが、直後は余震もひどく、道路もライフラインも寸断された状態。来ていただく方の安全が保障できないので、少し落ち着いてからお願いするほうが受け入れ側も安心できます。ボランティアの方には必ずボランティア保険の加入をお願いし、災害時は消防団などが巡回しているので、身分証明書、行き先を証明するものを携帯してもらうよう伝えましょう。
食事や寝る場所は?
通常、ボランティアの食事は持参が基本といわれていますが、介護施設の場合、みんなで食事をすることで、利用者にスタッフとして認めてもらえたり、スタッフとの絆が深まったりします。食料に余裕があれば一緒に食べてもらってもいいと思います。寝る場所も施設内で確保するか、近隣の公共施設を利用するかなどを、早めに検討しておきましょう。
何からお願いすればいい?
まず、見守りからはじめてもらいましょう。お互いに慣れてきて、その人の職歴などがわかってきたら、少しずつ身体介助などをお願いします。その際、過剰介助にならないよう、自分たちの普段の介助を踏襲してもらいましょう。利用者の介助だけでなく、片づけやスタッフのケアをお願いしてもいいと思います。
ボランティアにはできれば1週間単位くらいでの支援をお願いし、引き継ぎもボランティア同士で行ってもらいます。災害時の支援はほんとうにありがたいものです。ミーティングなどで感謝を伝え、心の交流を図ることが大切です。
看護師、介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉主事、認知症ケア専門士(上級)。グループホームのほか、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、小規模型通所介護事業所などを運営。著書に『大地震から認知症高齢者を守れ!!』(ぱーそん書房)がある。
文/ナレッジリング(中澤仁美) イラスト/藤原ヒロコ