マット運動を取り入れたデイ
運動と文化活動で自発的な介護予防を【2】
“得意”を活かした文化活動。リーダーは利用者、スタッフはサポートのみ
「葵は『心と身体のリハビリ』で、元気な『笑顔』を作ります」これは、“葵”で、毎月出している新聞、「あおい通信」に書かれているキャッチフレーズ。この言葉どおり、利用者の体だけでなく心も元気にするために、ここではさまざまな文化活動にも力を入れています。
句会、パソコン、手芸、アクセサリー作り、英会話、書道、歌、絵手紙、パズルなど、趣味の会や講座が盛りだくさん。利用者は、好きなものを選んで参加できます。「なかでも盛況なのが、週1回開いている句会です。もともと利用者さんの発案から始まったんですよ」と、管理者の飯島一子さん。長年、俳句を勉強してきた利用者の男性が、ほかの利用者から「教えてほしい」と言われたのをきっかけに、スタッフに「句会ができないだろうか」と提案。その申し出にデイも快諾し、その男性をリーダーとして句会が立ち上げられました。
現在のメンバーは15人。リーダーに加え、俳句に詳しい男女2人が先生役を務め、「蒲公英(たんぽぽ)」という名称で活動しています。メンバーが作った俳句を世話役の利用者がパソコンに打ち込んでプリントし、次々回の句会に持参して、皆に配ります。それを見ながら、一句ずつ作者自身が読み上げ、それぞれ味わったり、評したり、さらに先生役の利用者が添削したり…。本格的な俳句の世界を楽しんでいます。
「この句会も、スタッフはサポートだけで、活動の主体はあくまでも利用者さんです」(飯島さん)
集まった俳句は、年1回、合同句集として刊行。その年に作った句が、作者の名前と顔写真とともに収められていて、すでに3度刊行されています。
文/松崎千佐登 写真/中村年孝