マット運動を取り入れたデイ
運動と文化活動で自発的な介護予防を【1】
今、ますます介護予防が重視され、誰もが少しでも長く自立した生活を送りたいと望んでいます。利用者が自発的に運動や文化活動を行うシステムを整え実現させているデイサービスをご紹介します。
体の機能の衰えた人でもできるマット運動。プロの助言をもとに充実したメニューを実践
「はい、息を吐きながらー、いーち、にーい、さーん……」部屋に響くスタッフの声に合わせて、マットの上でさまざまな運動をする利用者。デイサービスでは、あまり見られない光景です。
リハビリテーションデイサービス葵では、利用者がさまざまな運動を行えるように器具が多種揃えられ、効果を高めるための体制を整えています。なかでも特徴的なのが、開設当初から導入している、このマット運動。代表の片山章さんによると、自身のリハビリ体験が影響しているとのこと。
「左右のひざの半月板損傷を、手術せずに医師とPT(理学療法士)の指導のもと、リハビリ効果のある運動を行って治しました。それで運動の重要性を実感し、介護予防を主眼にしたデイを作ることにしたのです」
マット運動のメニュー作りから現場での指導まで、すべてスタッフが担当。もちろん、それらはPT、OT(作業療法士)などの専門家の指導を十分に受けたうえで行っています。
“葵”はビルの3階にありますが、1階にある同じグループのデイケアに専門家らが常駐。そこで、指導やアドバイスを受けながら、緊密に連絡を取り合い、オリジナルのマット運動メニューを作って実施しているのです。
マット運動は、たっぷり20分以上かけて交代制で行います。その間、マット運動をしていない人たちは、トレーニングマシンやマッサージ機器を自由に使い、個々にトレーニングを行います。
「好きな運動を自発的にやることが大切だと思っています。そうでないと継続できませんからね」と片山さん。スポーツクラブのようなデイの様子に、「運動を嫌がる人はいないのですか?」と尋ねました。
「最初は『もういやだ。筋肉痛がすごいよ』という人が多いです。でも、『筋肉痛があるのは効果があるということ。それはいいことなんですよ』と話すと、何とか続けてくれます。3か月もたつと、筋力がついて体が楽になるので、それからは積極的に取り組んでくれますね」(片山さん)
文/松崎千佐登 写真/中村年孝