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介助・ケア

うまくいかないのはなぜ?

箸や食器を持とうとしない認知症利用者への対応【前編】

箸や食器を持とうとしない認知症利用者への対応【前編】

Q 自分で食事をとれるはずなのに箸や食器を持とうとしません。どうしたらいいのでしょうか?
麻痺もなく、茶碗や箸を普通に扱えるはずのBさん。しかし、食事を前にしても、「手が言うことをきいてくれない」と言って箸をつけようとしません。機能維持のためにも自分で食べてほしいのですが……。

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A 食べはじめの動作をサポートすることで、ご本人ができる食事動作(手続き記憶)につなげられるようにしましょう。
Bさんの「手が言うことをきかない」という言葉から、食事に手をつけない理由が「身体失認」である可能性がうかがえます。食事は手続き記憶による日常動作なので、その動作に結びつくきっかけをつくり、サポートするようにします。

対応のポイント
食事は、まず「箸を持つ」「茶碗を持つ」などの動作からスタートします。しかし、失行や失認があると、どのようにすればいいのかわからず、うまくできなくなることがあります。特に身体失認の場合、自分の体の一部を自分のものだと認識できなくなるぐらい、うまく動かせません。そのため、「手が言うことをきかない」「自分の腕が他人の腕になった」といった表現をすることがよくあります。

まずは食事動作に移行できるか、最初の動作を補助してみましょう。箸と茶碗を持ってもらうと、何ごともなく食べはじめることが少なくありません。ただし、この時、言葉だけで指示するのは避けましょう。つい大声になりがちで、利用者は怒られているように感じてしまいます。

最初の動作を補助してもうまくいかない時は、茶碗や皿などの配膳位置を変えたり、皿の数を減らしたりします。また、トレーやお皿が柄ものの場合、視覚情報が多すぎて混乱を招くことがあるため、シンプルなものに変えることも試してみましょう。

監修/伊東美緒 東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く~』など。 文/高野千春 イラスト/田上千晶
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この記事が掲載されている号

レクリエ 2018 5・6月号

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60,61ページに掲載

おもなレク
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