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認知症の人の生活向上を図る「ミュージック&メモリー」
認知症の高齢者を対象に、2017年10月からの3ヶ月、「音楽によって自分らしさを取り戻してもらう」取り組みが栃木県内の介護施設で行われました。その名は、ミュージック&メモリー。対象者が若い頃に慣れ親しんだ音楽を携帯音楽プレイヤーにダウンロードし、1日30分~1時間、週何回か聴いてもらうという回想療法の一種です。4施設の認知症高齢者6人に協力してもらった結果、4人について生活意欲の向上などが見られたということです。
米国のNPO法人が推進したこの取り組みは、ドキュメンタリー映画『パーソナル・ソング』(2014年・米国)でも紹介されており、19の州政府が公的な施策として取り入れています。日本でも高齢者が昔の音楽を楽しむレクリエーションは見られますが、その多くは多人数で行なうグループ活動。ミュージック&メモリーのように、特定の個人が慣れ親しんだ音楽を集中して聴いてもらうスタイルはなかなか見られません。
本事業は、介護現場での音楽の活用を日本でも普及させるべく、NPO法人エコロジーオンライン(栃木県佐野市・上岡裕理事長)が県内の医師の協力を得て試験的に行ったもの。今年から、愛知県や沖縄県でも活動を広げる方針です。
文/田中 元