“振り返り”でわかる
認知症の人への対応~興味・関心を探るケア【3】「認知症レベルの把握」
認知症のレベルに合わせ「できなくなったこと」に配慮を
認知症になると、失認や失行などによって、「ものがうまく認識できなくなる」「やり方・使い方がわからなくなる」などの症状が現れ、これまでできていたことができなくなってきます。まずは、その人の認知症のレベルを正確に把握することが大切になります。
そのうえで、仕事や家事など、その人がかつては当たり前のようにしてきたこと、得意にしてきたことであっても、現在できるとは限らないことを理解しておきます。つまり、それらが現在の興味・関心に結びつかないこともあり得るということです。
そこで、スタッフには、その人が現在できることを見つけ出し、そこに興味・関心が潜んでいないかを探っていく姿勢が求められます。
例えば、こんなことがありました。かつて家庭科の教師をしていた人に裁縫を勧めたところ、認知症のためにできなくなっていました。そのため一時は自信をなくしたものの、もともと教えることに関心があったことがわかり、ほかの利用者に裁縫を教えてもらうことで自信を取り戻すことができました。このように、できることのなかに興味・関心を見つけると、ケアに結びつけやすいことがわかります。
興味・関心の内容は一人ひとり違います。先入観をもたずに探ること、利用者が新たな興味・関心にも目を向けられるような働きかけをすることなども考えていきましょう。
監修/六角僚子
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
文/高野千春 イラスト/中小路ムツヨ
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
文/高野千春 イラスト/中小路ムツヨ