“振り返り”でわかる
認知症の人への対応~興味・関心を探るケア【2】「“なぜ?”の視点」
掘り下げて聞き出す
興味・関心を探るためには、「なぜ?」の視点をもつことが重要になります。「○○が好き」という言葉をそこで終わらせるのではなく、「なぜ好きなのか」と考え、確認することで、その人の本当の気持ちやほかの好きなものが見えてくることがあります。
それは、行動や態度が今までと変化した際にもいえること。認知症だからといって「気が変わったのね」で済ませてしまうのではなく、「どうしたんだろう」「何かあったのかな」と考え、一段掘り下げたアプローチをすることが必要です。
当施設でもこんなことがありました。なかなかデイサービスに来なかった男性が、隣接する保育所の子どもたちとの交流によって、1日おきに通ってくるようになりました。当初スタッフは「子どもが好きなんだな」と思い、交流の機会を増やしましたが、そのうち、子どもといてもそれほど楽しそうではない時もあることに気づきました。
本人によく話を聞いてみると、「娘しかいなかったので、男の子と遊んでみたかった」と言います。これを知ってからはその男性が男の子と遊べる機会を増やし、スムーズな通所につなげました。
また、利用者同士のかかわりから、興味・関心を掘り下げることもできます。昔遊びをやっている時の会話が、そこにまつわる思い出や楽しい理由などを教えてくれることもあります。
監修/六角僚子
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
文/高野千春 イラスト/中小路ムツヨ
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
文/高野千春 イラスト/中小路ムツヨ