買い物を通じた機能訓練
ショッピングセンター内にあるデイ~その2
他者との交流を通して社会参加する目的も
同デイを運営する(株)ここみケアがショッピングセンター内にデイサービスをつくったのは、「ひとつには地域の活性化が目的」とのこと。さまざまな業種の店舗が出店する中に、「デイサービスがあってもいいのではないか」という発想からといいます。
「利用者さんにとっても、買い物客で賑わう店の中で買い物をし、レジの人と言葉を交わしながら支払いをするのは、単なる機能訓練だけでなく、社会性を維持するためにもおおいに役立ちます。
高齢になると、どうしても外に出るのがおっくうになり、社会や人との関わり合いが少なくなりがち。そんな中で、地域の人と交流できる買い物プランは、お年寄りを自然に社会に呼び戻す効果も期待できると考えたからです」(遠藤さん)
支払いの動作は脳・指先の訓練に。自分で財布からお金を出して支払う。頭で計算し、指先でお札や小銭を取り出すことが、脳や指先の機能訓練になる。
このサービスのメリットとして、必要な買い物がデイサービスの時間内にできるという利便性もあります。同デイがある地域では、「自宅の近くに買い物できる店がない」というケースも多く、とくに一人暮らしの高齢者にとって日常の買い物は悩みのタネ。「自分で買い物に行くと、タクシーで数千円かかる」という人もいるほどです。
同デイでは、朝、各利用者の自宅まで車で迎えに行き、帰りは買い物した荷物を積んで自宅まで送ります。ですから、デイで買い物をすれば、荷物も一緒に運んでもらえるというわけです。「週2回来るデイで必要な買い物はほぼ済ませています。品物も多いし、自由に買えるからここに来るのが楽しみ」という声も聞かれました。
機能訓練と社会性の維持、利用者の利便性が一体になった買い物プラン。ショッピングセンター内での立地という特殊な条件を活かしたものではありますが、これからのデイの一つのあり方として、画期的なアイデアといえそうです。
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