「もう一度、働きたい!」その思いがかなうデイサービス[2]
地域の商店や企業を回って、働ける提携先を確保
そして、できることの選択肢には「仕事」が含まれています。設立当初から、前田さんや所長の松田聖章さんたちスタッフが、地域の商店や企業を回り、メンバーが働く場を確保してきました。
施設が仲立ちした仕事で得た報酬は、残らずメンバーの手に入ります。その使い道は、趣味のものを購入する、孫に何かを買ってあげるなどさまざま。デイの食事代や利用料をその報酬でまかなう人もいます。「仕事でお金をもらうようになって、自信を取り戻した」という声が多く、家族にも好評です。
このシステムができるまでには、行政の壁にぶつかり、並々ならぬ苦労をしたとか。利用者のやりがいをつくるという観点は評価されても、仕事となると雇用関係が生じ、保険や税金などさまざまな問題がつきまといます。それでもあきらめずに国と協議を続けた結果、「都道府県で定めた最低賃金を超えない範囲なら、有償のボランティアとして認める」という落とし所にこぎ着けました。
ですから、行政上は有償ボランティアという名目ですが、実態は報酬を得られる立派な仕事。仕事の内容は、店舗や会社に出かけて行うものや、施設内で行うものなどさまざまです。その日に集ったメンバーの中から、希望者を募って配置されます。
最も初期からの提携先は、地元の青果問屋「野菜のツトム」。運転や集金を担当するスタッフと組んで行う配達作業のほか、玉ネギをむく仕事やジャガイモの選別をする仕事も請け負っています。メンバーたちは、こうした仕事を通じて、再び社会とつながる喜びを感じ、やる気と自信を取り戻しています。
「こうしてむきます。そうそう」
玉ネギの皮むきの仕事中。青果問屋の社長(中央)が施設を訪れて上手なむき方を直々に伝授。
●野菜・果物卸売り専門店「野菜のツトム」
TEL.042-788-3011
この記事が掲載されている号
レクリエ 2014 5・6月号
36-37ページに掲載ページに掲載
おもなレク
- 5月の壁画 滝を昇るこいのぼり
- 梅雨を感じる季節の制作
- 「動き」に注目したゲームレク
- チャンバラごっこで体を動かそう
- 坂入姉妹の童謡レク
- 新食感!豆腐入り柏餅