利用者の気持ちを考えた認知症ケア[6]~入浴編
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[1]~認知症の四大疾患
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[2]~認知症の四大疾患
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[3]~ケア事例
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[4]~ケア事例
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[5]~入浴編
■羞恥心を理解し不安を取り除くことも大切
一般的な事業所では、フロア係のスタッフが脱衣所まで誘導し、入浴係が入浴を介助するという流れで入浴ケアが行われると思います。しかし、複数の人がかかわることで混乱してしまう人もいます。不安や拒否の強い人には、一連の流れを1人のスタッフが担当するようにしてみましょう。
羞恥心への配慮も必要です。認知機能が低下していても、羞恥心は残っています。異性のスタッフによる介助にどのような思いを持つか、入所時に聞いたり試したりして確認しておくようにします。また、裸になることへの羞恥心を軽減するためには、脱衣前にタオルを渡すことが有効です。
認知症の人にとっては、今日行うことのすべてが初めてのことです。先週入浴できたからといって、またうまくいくとは限りません。認知症の人が何に不安を感じ、どのような思いを持っているかを理解するのは難しいことです。常に、「もし自分だったら……」と考える姿勢を持つことが大切です。
■入浴に向けてのリアリティ・オリエンテーション
入浴は、心の準備も大切になります。「入りたい」「入るんだ」という気持ちに結びつけるリアリティ・オリエンテーションを展開します。
当事業所では、朝に利用者とハイタッチを行います。まずその時に「手が冷たいのでお風呂に入りましょうね」「汗をかいているのでお風呂でさっぱりしましょうね」などと声をかけ、入浴への意識づけをします。独居の利用者の場合、迎えに行った際に一緒に着替えを準備しながら入浴を意識してもらうこともあります。次に、入浴直前に、利用者にタオル類や着替えを渡すことで、入浴のサインを送ります。
さらに、朝の時間や頭の体操の時間を利用して、なぜ入浴を行うかという根拠を伝えると、入浴へのモチベーションアップにつながり、リアリティ・オリエンテーションの一環になります。
※六角僚子
東京工科大学医療保健学部看護学科教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
この記事が掲載されている号
レクリエ 2014 5・6月号
72-73ページに掲載ページに掲載
おもなレク
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