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利用者の気持ちを考えた認知症ケア[7]~排泄編

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老化と認知症によって排泄が思うようにできなくなった利用者には、さまざまな失敗が起こります。人間としての尊厳にもかかわることだけに、その対応にはより多くの配慮が求められます。

今回は、利用者を傷つけることなく、快適な排泄に結びつけるための対処法を学びましょう。六角僚子先生が運営する「デイサービスセンターお多福」での実践も参考にしながら解説します。

■認知症の障害が排泄に与える影響
認知症の症状には、中核症状と周辺症状(BPSD/行動・心理症状)があります。中核症状とは認知機能障害によって現れる症状で、記憶障害、見当識障害、失行・失認・失語、実行機能障害などが挙げられます。一方、周辺症状は、抑うつ、妄想、徘徊、興奮、不潔行為など。中核症状に環境の変化や身体的要因、周囲のかかわり方などの因子が加わることで生じる症状です。
 
私たちはつい周辺症状にばかり目が向きがちですが、排泄において問題となる行動は、中核症状とも関連しています。ですから、環境を整えたり、自分たちのかかわり方を見直したりすることで、問題が改善することもあります。排泄の問題と向き合うには、中核症状についての理解も大切です。
 
例えば、失禁をしてしまう場合には、トイレの場所を忘れてしまう(記憶障害)、トイレの位置がわからない(見当識障害)、排泄動作がわからなくなる(失行)、トイレの意味がわからなくなる(失認)などの中核症状に基づく原因があります。そこに、環境の変化や排泄時の不快感、誘導に対する羞恥心など、本人の心理状態、周囲との人間関係、スタッフのかかわり方、施設環境の影響など、周辺症状の要因となる因子が関係していることが多いのです。
 
また、認知症の症状以外に、前立腺肥大による尿失禁や、骨盤底筋の脆弱化による尿失禁など、身体機能の低下や身体的疾患が原因となる場合もあります。

■尊厳に配慮し、自力で排泄できる環境作りを
排泄は生きる上で不可欠な生理現象であり、最も個人的な生活行動です。認知症であったとしても、それに伴う羞恥心が変わることはありません。そのため、排泄行動の失敗は利用者に羞恥心を感じさせ、自尊心を傷つけ、時には自信を喪失させてしまいます。排泄ケアが利用者の尊厳にかかわることを忘れないようにしましょう。

※六角僚子
東京工科大学医療保健学部看護学科教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。

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レクリエ 2014 7・8月号

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70-71ページに掲載ページに掲載

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