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介助・ケア

利用者の気持ちを考えた認知症ケア[5]~入浴編

利用者の気持ちを考えた認知症ケア[5]~入浴編

利用者の気持ちを考えた認知症ケア[1]~認知症の四大疾患
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[2]~認知症の四大疾患
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[3]~ケア事例
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[4]~ケア事例

入浴は清潔を保つために必要な日常生活行為ですが、羞恥心を伴うため配慮が必要です。また、複雑な動きを連続して行うことも多く、認知症の人にとっては戸惑いを感じることも少なくありません。

そのため、「入浴」はケアする上で、困り事の多い場面の一つと言えます。今回は六角僚子先生が代表理事を務める「デイサービスセンターお多福」での取り組みを例に、その解決法をご紹介します。

■「入浴=無防備な状態」。だから心地よさが重要
認知症の人にとって、入浴は「恐怖の塊」ともいえるものです。自宅と違った環境、服を脱いで裸になる、日常生活とかけ離れた行為をする(浴槽に入る、体を洗う、洗髪する)など、不安になる要素が組み合わされた生活動作なのです。ですから、不安になる要素をなるべく取り除き、心地よさが感じられる配慮をすることが重要です。

入浴には、皮膚を清潔にして細菌感染を防ぐ、清潔にすることで爽快感や満足感を得る、血液やリンパ液の循環や臓器の機能を高める、老廃物の排出を促す、心身をリラックスさせるなどの効果があり、ぜひとも続けたい生活習慣です。そのため、継続していくために何ができるかを考えます。

まずは、環境整備や準備など事前にできることを実践し、心地よさにつなげていきます。例えば、濡れた床を拭く、室温を調節するなどして寒さや冷たさを感じさせない、いすを使用したり浴槽の深さを調節したりして不自然な姿勢になるのを防ぐなど、苦痛を感じる要素をなくします。

さらに、何があってもすぐ応えられるよう準備を整えておくことも大切です。利用者が拒否の態度を一変させ、急に入ろうとした場合でも、「待っていてくださいね」は禁句。利用者を待たせないことが基本です。

一方、普段の生活から入浴したがらない「お風呂嫌い」の人もいます。その場合は、ほかの利用者が入浴に行く際に「みなさん、お風呂に行きますよ」などと声をかけたり、浴室内を見せたりして、時間をかけて少しずつ入浴に慣れていけるよう工夫します。利用者にスムーズに入浴してもらうためには、安全で快適な入浴を実現し、「入浴は怖くない」という気持ちを持ってもらうことが重要です。

※六角僚子
東京工科大学医療保健学部看護学科教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。

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この記事が掲載されている号

レクリエ 2014 5・6月号

レクリエ 2014 5・6月号

72-73ページに掲載ページに掲載

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