利用者の気持ちを考えた認知症ケア[4]~ケア事例
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[1]~認知症の四大疾患
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[2]~認知症の四大疾患
利用者の気持ちを考えた認知症ケア[3]~ケア事例
■アクティビティケアの視点に立ったケア
お多福のケアのベースにあるのがアクティビティケア(AC)です。これは、利用者が私たちと同じような気持ちで当たり前の生活を送れるように、環境を整え、支援すること。
「簡単に言えば、利用者さんに、心地よく、ワクワクしながら、楽しく快適に生活してもらうこと。お多福では、そのために何ができるかという視点をもって、環境やプログラムを整えています。毎日のケアについては、自分だったらどうしたいか、されたいかを考えながら援助するようスタッフに伝えています」(高橋さん)
フットケア、休息場所やソファの設置、わかりやすい施設表示など、ACの考え方が表れた取り組みを見てみると、確かにプラスアルファの思いやりやひと工夫があります。
認知症の利用者の気持ちが少し不安定になった場合も、さりげなく別の場所に誘導し、気持ちが落ち着くようゆっくりとおしゃべり。これもACの一つです。自然にサポートされることで、利用者はゆったりとした気持ちを取り戻すのです。
足が床に着かない人のために足置きを常備。足が疲れないための配慮とともに、快適に過ごしてもらうためのAC。
■日常的で積極的なリアリティ・オリエンテーション
時間、場所、人物などがわからなくなってしまった人に、「今」を伝えていくことをリアリティ・オリエンテーション(R・O)といいますが、これがお多福のケアのもう一つの柱。「お多福茨城町」の管理者である松岡佳美さんがその具体例を説明してくれました。
「認知症の方はある程度時間がたつと記憶がリセットされ、常にゼロ=スタートの状態にあります。ですから、朝の送迎から帰宅まで、タイミングをみて常に言葉かけをし、利用者さんにサインやきっかけを送ります。『10時になったからおやつを食べましょう』『冬は寒いのでお風呂が気持ちいいですね』など、何か行う時、不安げな表情をしている時などに言葉をかけると、安心して生活できるようです」
R・Oを行うことが、ACにもつながっているのです。
※六角僚子
東京工科大学医療保健学部看護学科教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
この記事が掲載されている号
レクリエ 2014 3・4月号
76-77ページに掲載ページに掲載
おもなレク
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