うまくいかないのはなぜ?
衣服を脱ぐのを嫌がる人への声かけ[認知症ケア]
Q 衣服を脱ぐのを嫌がる人へどう対応したらいいでしょうか?
脱衣所まではスムーズに誘導できるBさんですが、脱衣がうまくいきません。声をかけながら衣服を脱がそうとすると体を縮こまらせてしまいます。力が入っているので、無理に引っ張るわけにもいかず、困っています。
A まず利用者の様子を把握し、脱衣をサポートする声かけを
【対応のポイント】
入浴は時間が長くかかるため、利用者が不快に思ったり、疲れて嫌になったりすることが多くなります。どの段階で、自分のどのような対応が入浴を嫌がる原因になったのか、振り返り確認しておくことが大切です。特に、脱衣という行為は羞恥心を伴うため、配慮が必要です。
失認・失行などのある人には、目を見ながらゆっくり「お風呂ですから脱ぎましょうね」などと声をかけてから、衣服に触れるようにします。また、介護者が自分の衣服に手をかけて「自分で脱いでみます?」と脱ぐまねをしてみせると、自分から脱ぎ始めることも。利用者が混乱して落ち着きを失った時は無理強いせず、一旦入浴をやめることも必要です。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く』など。
文/高野千春 イラスト/田上千晶