“振り返り”でわかる
認知症の人への対応~家族へのケア【2】
家族を支援するためにさまざまな方法で工夫を
家族を支援する場合、最初に家族がどのような状況・状態であるかを確認することが重要です。利用者とのかかわりはどのようになっているのか、どの程度の介護力なのか、何に困っているのか、どのような悩みがあるのか、どんな知識が不足しているのか……。
同じ家族といっても、主介護者とほかの家族では利用者への思いが違っていることもあります。ほかの家族がどのようにかかわっているか、知ることも大切です。家族とかかわる際には、相手の立場に立って考える視点も求められます。
情報提供やアドバイスは、それぞれが求める程度に合わせて行う工夫が必要です。そうすることが、家族との信頼関係を築くことにもつながり、その後のケアの展開にかかわってくるでしょう。ですから、アドバイスをする際にはポイントを絞ることも大切。あまり細々と指示をすると、逆に反感を買ってしまうことがあります。
利用者に知られず家族と連絡を取りたい時や、主介護者以外の家族の意見を確認したい時は、連絡帳だけでなく、状況に応じて、電話やメール、手紙などを利用することも大切です。
家族をうまく支援することが、利用者本人を支援することにつながります。
監修/六角僚子
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
文/高野千春 イラスト/中小路ムツヨ