認知症ケア「認知症の方の関心をそらす気分転換のケア」【2】
強引に気分を変えるのではなく自然に変わるようにする
しかし、気分転換のケアは、とりあえず気分を変えればいいというものではありません。例えば、「その場でやっていたアクティビティへ参加するよう誘導した」「ほかの人と一緒にお茶を飲むよう促した」などは、現場でよく見られるケアです。一見、気分転換のケアに思われますが、その時、本人がそのアクティビティに関心があるかどうか確認したでしょうか?また、お茶を飲みたいような気分になる働きかけをしたでしょうか?
たとえ利用者がスタッフの誘導に従ったとしても、その人の気分は、無理やりその方向に向けられたにすぎません。気分転換は、本人の気持ちが自然に変わるようフォローすることが重要なのです。
ですから、気分転換のケアでは、本人の気持ちの動きや関心、周囲の環境などに配慮し、左ページのような流れで行うようにします。その場合、本人の表情やしぐさ、話などから何を求めているかを探ることから始め、段階を踏んで行うことがポイント。ケアを実施する側も「利用者に変化が見られなくても焦らない」「無理によい方向に(相手の)気持ち・気分を変化させようとしない」などに注意し、余裕をもって接することが大切です。
監修/六角僚子
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。
独協医科大学看護学部在宅看護学領域教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。