介護職として知っておきたい
介護保険改正のポイント1~制度改正の主なポイント
今回の改正の中でも、介護現場に直接関係する重要な点を紹介します。大きな改正が実施されましたが、介護職員として現場で知っておきたい重要なポイントは次のとおり。
一つは、一定以上の所得のある65歳以上の高齢者(第1号被保険者)が介護サービスを利用した場合の費用負担が、1割から2割となること。加えて、高額介護サービス費の負担額の上限も、医療保険制度での現役並み所得者に該当する人は引き上げとなります(今年8月利用分より)。
二つ目は、要支援者への予防給付のうち、訪問介護と通所介護が市町村の行う地域支援事業に移行され、従来の介護予防事業などと合わせて「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」として再編されたことです。ここでは、住民主体の活動や一般企業による高齢者へのサービスなどを「生活支援サービス」としてこの事業に取り込むことも規定されています(市町村により開始時期が異なる)。
三つ目は、通所介護の事業者のうち小規模なもの(利用定員18名以下)を市町村が指定・監督などを行う地域密着型サービスに移行し、「地域密着型通所介護」という新たなサービスとなることです(来年4月より)。
四つ目は、特養ホームの新規入所要件が原則として要介護3~5になったこと。
このほかに「地域支援事業で認知症関連の事業などが拡充」されたり、「施設入所時などの居住費・食費の負担に対する低所得者への補足給付(特定入所者介護サービス費)の要件」が厳しくなりました。また、第1号保険料の所得段階が細分化されるとともに、低所得者の保険料が公費負担によって軽減されました。
東洋大学ライフデザイン学部准教授。社会福祉士、介護支援専門員。在宅介護支援センターのソーシャルワーカーや、居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして活躍後、現職。『これならわかる〈スッキリ図解〉介護保険第2版(2015年)』(翔泳社)ほか著書多数。