緊急時の対応ポイント解説
【緊急時の対応】いざという時にあわてない準備
介護の現場では、利用者の急変や予期しない事故などに遭遇することが増えています。そんな緊急時にあわてず対応するため、介護職員が身につけておきたい知識・技術を、ポイントを押さえながら確認していきましょう。
より重要になってきた介護施設での緊急時の対応
昨今、介護の現場では、何らかの医療処置を必要とする人が増えています。これは、医療機関の療養病床が減り、治療を継続したまま自宅や施設に戻ってくる人が多くなっているためと考えられます。
このような人は病状が安定せず、急変の可能性も高まります。急変はいつでもどこでも起こり得ることで、だからこそ介護施設内で緊急時に利用者の生命や安全を守るには、介護職の適切な対応が重要になります。
とはいえ、日常の業務のなかで緊急事態に遭遇することは少なく、経験によってその対応を身につけるのは難しいもの。そこで準備しておきたいのがマニュアルです。緊急時に何をしたらよいか、施設内での共通の方法をまとめ、スタッフで共有しておくといいでしょう。
もしマニュアルがなかったら、上司や責任者に作成の提案をしてみましょう。マニュアルは利用者だけでなく、スタッフも守るものなのです。
報告・判断・知識・技術手順に沿って対応を
緊急時の対応で重要なのは「報告」「判断」「知識」「技術」。緊急事態に遭遇したらすぐに人を呼び(「報告」)、だれかが来るまでにできることを「判断」し、身につけた「知識」をもとに「技術」を提供することです。
難しいように思うかもしれませんが、日ごろからマニュアルに沿った対応の仕方を覚えておけば、あわてずに行動することができます。
本誌では、緊急時でも特に生命や安全を守る時、どのように対応すればよいか、その手順と身につけておきたい知識・技術をポイントごとに解説しています。
特別養護老人ホーム 川口キングス・ガーデン施設長
愛知県立看護短期大学(現在の愛知県立大学看護学部)卒業後、名古屋第二赤十字病院に入職。その後、介護福祉士教育に携わり、ケアマネジャーとして居宅支援事業所に勤務。2007年から川口キングス・ガーデンに勤務、施設看護師を経て現職。著書に『緊急時の介護~とっさの症例判断・対応マニュアル~』などがある。
文/高野千春 イラスト/中村知史