6つの動きで効果的!
認知症の⼈と一緒に口腔機能を鍛える動きとは
特別号でご紹介するレクは、「口を閉じ続ける」「息を強く吹く」などを意識して行うことで、口腔顔面筋を鍛え口腔機能の維持・向上を図るものです。異なる要介護度の利用者が無理なく取り組めるように、ルールがシンプルで一人でもグループでも行いやすいものを考えました。
口腔機能を維持・向上するためにレクに取り入れたい6つの動き
以下の6つの動きは、「呼吸する」「食べる」「話す」にそれぞれ効果があります。すべて取り入れるのが理想的ですが、難しい場合は利用者の状態を見極めて行いましょう。
1 息を強く吹く
息を強く吹くことで、肺活量や瞬発力が鍛えられます。これにより、食べ物が気道に入りそうになった時にせきをして吐き出しやすくなり、誤嚥防止につながります。
2 息を加減して吹く
息を弱く吹いたり、長く吹いたりと、自分で加減して吹くことで、食事の時などに必要な呼吸のコントロールを身につけます。
3 口を閉じる
唇で押さえる力を鍛えると、瞬間的に息が止められるようになり、誤嚥の予防になります。また、よだれが流れ出るのを防いだり、口内の乾燥を予防したりすることができます。
4 息を吸う
息を吸う力がないと、しっかりと息を吐くことができません。また、飲み物をむせずに飲み込むにも、吸う力が必要になります。
5 声を出す
早口言葉を言ったり、歌ったりすることで、発音の訓練になります。また、口周りの筋肉や舌がよく動き、嚥下(えんげ)機能の維持・向上につながります。
6 舌を動かす
舌を動かすことで、舌の根本の筋肉や、顔の筋肉が鍛えられ、噛む力や嚥下機能の維持・向上につながります。また、唾液(だえき)の分泌を促進します。
本誌では、介護現場で気になるという声の多い、利用者の口腔機能の改善につながる口腔レクを紹介しています。認知症でも無理なく行える口腔レクで楽しみながら口腔機能の改善を図りましょう。
監修/尾渡順⼦
医療法⼈中村会 介護⽼⼈保健施設あさひな 認知症介護レクリエーション実践研究会。介護現場での実践者として⽇本各地でレク研修を⾏っている。
イラスト/オカムラナオミ