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介助・ケア

事例で学ぶ認知症ケア

配膳カートに怒り出す利用者への対応【2】

配膳カートに怒り出す利用者への対応【2】

事例
いつも朝から積極的にスタッフを手伝ってくれるAさん。しかし、昼食時にスタッフが配膳カートを押してくると、落ち着かなくなり、「家に帰る!」と怒り出してしまいます。

Aさんの生活歴
●60歳代後半。妻と2人で年金暮らし。
●介護度は要介護2で、主な要因は認知症。
●50年にわたり大工として働き、これまで支えてくれた奥さんを大事に思っている。
●幼少期の生活ぶりは質素で、職人時代もつつましい生活を送ってきた。
●昼食は奥さんの手作り弁当だった。
●趣味は仕事というぐらい大工の仕事が好きで、大工時代の話をする時は笑顔を見せる。

スタッフはこう考えました
●いつも昼食前に帰宅願望が出るのは、今の食事の内容や方法に何か問題があるのではないか。
●大工さんは建築中の現場で各自お弁当を食べることが多い。Aさんも屋外でお弁当を広げる昼食だったのではないか。
●いつも手作りのお弁当を食べていたAさんにとって、きれいに並べられた食事は贅沢に思えるのではないか。
●奥さんが作ったお弁当があるので、それを食べなければならないと思っているのではないか。
●ほかの利用者と一緒に決められた席で食事をすることは、気ままに昼食をとっていたAさんには窮屈に感じられるのではないか。

この考えのもと、こんな対応をしてみました
本人の弁当箱に施設の食事を詰めてスタッフも一緒に屋外で食べる
Aさんが使用していた弁当箱を家族から借りて施設の食事を詰め、それをAさんに「奥さんが届けてくれましたよ」と渡し、屋外に誘いました。すると、一緒に食事ができました。その対応を1か月続けたところ、Aさんはスタッフルームでも昼食がとれるようになり、帰宅願望もなくなりました。

本誌では生活歴から対応を考え、うまくいったポイントをわかりやすく解説しています。

監修/服部安子
社会福祉法人浴風会本部浴風会ケアスクール校長、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員。障害者福祉の地域実践を経て、老人福祉施設の立ち上げ・運営に30年余携わる。著書に『認知症ケアの真髄』がある。

文/高野千春 イラスト/ホンマヨウヘイ
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レクリエ 2019 3・4月号

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59,60ページに掲載

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