12のチェック項目でわかる!
機能が向上する口腔ケア
利用者のQOLを維持するうえで欠かせない食事。その食事をおいしく、安全に食べるために重要になるのが口腔ケアです。利用者の日頃の様子を見て、「自力で食べている」「歯みがきができている」と安心していませんか?問題なく見えても、しっかりアセスメントすると、さまざまなリスクが潜んでいます。利用者のサインをキャッチして適切なケアに結びつけましょう。
その人に必要なケアは“食事と歯みがき”から見える
食事や口腔ケアの重要性は多くの介護職が認識し、実践していると思います。介護現場は食事、歯みがき、会話といったさまざまな利用者の姿が観察できる貴重な場です。介護者こそが利用者の口腔機能の情報を最も持っているといってもいいでしょう。
では、利用者の日常に即したケアをするにはどうすればよいでしょう。口腔ケアの問題は、利用者の食事や歯みがきの様子をよく観察すると見えてきます。「むせるようになった」「食事に時間がかかる」など、気になることはありませんか。それは利用者の発するサイン。介護職はそのサインを単なる食事の際の“困ったこと”と捉えず、それが何を意味しているのかを探ることから始めましょう。
「食事の時にむせる」のはどうしてかがわかれば、むせないためのケアをすることができます。こうした適切な対応は、口腔機能の維持・向上につながります。
さらに、介護職が知る利用者の口腔機能の情報、食事形態や行っているケアを一つの介護現場だけで活かすのではなく、利用者の家族、ケアマネジャー、医療関係者などとも共有し、利用者の口腔ケアを多職種で支えましょう。
『レクリエ2018 特別号』では12のチェック項目対応について、その原因と詳しく取り上げています。
日本歯科大学教授、口腔リハビリテーション多摩クリニック院長。「食べること」「しゃべること」など口のリハビリテーションを目的とした専門クリニックで、外来診療や訪問診療を行うほか、在宅や施設入所で食べることに不安を持つ方への訪問リハビリテーションも実施している。
イラスト/中村知史