うまくいかないのはなぜ?
突然怒り出す認知症利用者への対応【前編】
Q ケアを行っている時、突然怒り出してしまう利用者にはどう対処したらいいでしょうか?
入浴の際、服を脱ぐのを手伝おうとすると、Aさんは突然手を振りほどき、大声で怒り出しました。そこで、入浴の必要性を伝え、ほかの職員にも脱衣を手伝ってもらおうとしたところ、ますます暴れ出してしまいました。
A 暴言・暴力の多くは不満が蓄積して現れるもの。不満がたまらないようなアプローチが大切です。
暴言・暴力は突然現れるものではありません。日常のなかでたまったイライラが限界に達した時、何らかのきっかけで誘発されて起こることが多いのです。まずは利用者のイライラの原因がどこにあるのか、自分たちのケアを見直してみましょう。
対応のポイント
決められたスケジュールに沿って、各職員が声かけをしてしまうと、利用者は始終「〇〇しましょう」と言われ続けることになります。職員は、ていねいに誘っているつもりでも、利用者は「常に命令されている」と感じる場合があります。それがイライラにつながり、暴言・暴力の原因となることも。まずは、自分たちがどのような声かけを行っているかを振り返り、嫌がっていると感じたら無理強いをしないことも、利用者をイライラさせないコツです。
認知症の人は、言葉の理解力が低下します。言葉だけで伝えようとせず、笑顔や声色、ジェスチャーなど、別の方向から補うことが大切です。相手を安心させるアプローチを行うことが、暴言・暴力を防ぎます。