介護の現場はどうなる?
介護保険改正で施設や通所のココが変わる!【後編】
通所介護
大規模型の基本報酬が減額自立支援の評価を導入
通所介護は介護報酬の厳しいマイナス改定が見込まれていましたが、それは大規模型に限定されました。通常規模型や地域密着型はさほどの減額幅とはなっていません。
ただし、基本報酬の時間設定が、従来の2時間刻みから1時間刻みに細分化されました。これまでに近い報酬を得ようとすると、例えば7〜9時間でサービスを実施していた事業所では8〜9時間のサービス提供に見直さなければならなくなります。
一方で、わずかな額ですが、ADL維持等の加算が新設されました。これは、ADL(日常生活動作)の維持または改善の度合いが一定の水準を超えた事業所に支払われるもので、「バーセル・インデックス」というリハビリテーションの分野で用いられる簡便なADL評価表をすべての利用者に用いることが前提となります。
また、外部のリハビリテーション専門職と連携して機能訓練のマネジメントをすることを評価する加算も導入されました(生活機能向上連携加算)。リハビリテーションと関連するこれらの加算の新設は、通所介護でも高齢者の自立支援を一層求めるものとして注目しておく必要があるでしょう。
通所リハビリテーション
医師を含めた多職種協働によるリハビリと短時間サービスへの誘導
通所リハビリテーションでは、その名のとおり、リハビリテーションの体制を充実させることを求める介護報酬改定となったといってよいでしょう。
まず、従来のリハビリテーションマネジメント加算が見直されました。この加算の要件として、基本的に医師の関与(詳細な指示)が求められるのに合わせて、リハビリ専門職が職員と一緒に利用者の自宅を訪問して介護の工夫に関する指導・助言などを行うと加算額が増えるしくみとなりました。
また、多職種協働でリハビリテーション会議を開催し、利用者の状態の変化に応じてリハビリテーション計画をきめ細かく見直すことなどにより段階的に加算されるしくみも設けられています。さらには、「VISIT(厚生労働省が行う通所・訪問リハでの情報のデータベース化事業)」による利用者情報の提出に協力することを要件としたものは、最も高い加算がつきます。
一方、基本報酬については、短時間(3〜4時間)は従来どおりですが、長時間になればなるほど減額幅が大きくなる改定となっています。これらから、通所リハには、短時間で効果の高いリハビリテーションを行うことが求められているように見えます。