利用者が自分だけの本を作るデイ
自由に綴る“美穂の家文庫”を始めて【3】
利用者もスタッフも和気あいあいと。園芸レクは今日も大盛況!
もちろん、美穂の家が行っているのは美穂の家文庫の活動だけではありません。ほかにもさまざまなレクリエーションを行っています。月1回の“園芸福祉”レクも大人気。園芸福祉とは、園芸活動を通して心身の健康回復と癒やし効果を目指すというものです。実は田島社長はフラワーショップも運営しており、「お花は人を幸せにする」という考えのもと、レクリエーションとして取り入れるようになったそうです。
取材の日も園芸レクが行われていました。テーマは翌月のクリスマスに向けたリース作り。テーブルにはリースの見本があり、利用者一人ひとりの前に制作キットが置かれていました(見本と制作キットは田島社長が作成)。制作キットの中身はリースや針金、リボン、鈴など。利用者は見本を確認しながら、リースに飾りつけをしていきます。
これがまた実に楽しそう。「孫が喜ぶ」と笑った人がいます。「鈴のつけ方はこれでいいの?」と隣の人の手元をのぞき込む女性も。「リボンはこうやって結んで」とお隣の制作を手伝っている人もいます。
スタッフと利用者だけでなく、利用者同士の間で会話が飛び交い、笑い声が絶えないデイサービス。その一体感のある和気あいあいとした雰囲気は、まるで仲良しグループが誰かの家に集まってワイワイと楽しみながら趣味のものを作っているような感じです。そして、このアットホームな雰囲気が美穂の家の最大の特徴です。そのもとにあるのは「我が家のようなデイサービスを目指す」というスタッフの思いでしょう。田島社長が美穂の家で目指していることを教えてくれました。
「子どもの頃、私の実家には人がたくさん集まっていました。介護していた両親が亡くなって実家が空いたとき、『実家をみんなが集まって笑い声が絶えない場所としてよみがえらせたい。高齢者の方々が安心して過ごせる第二の我が家を作りたい』と思い、美穂の家を開設しました。スタッフは、その考えに賛同して集まってくれた人たちです。そんな私たちが目指しているのは我が家にいるような家庭的なデイ。ここは利用者様のもう一つの自宅と思っていますので、利用者様がデイに来たときは『おかえりなさい』、デイを出るときは『いってらっしゃい』と声をかけています」
「おかえりなさい」と迎え入れられ、我が家のようにくつろげる空間で家族のように気心の知れたスタッフや仲間と一緒に過ごす。そのなかで自分だけの時間を楽しめる美穂の家文庫。充実した自分だけの時間と仲間との温かな時間の両方を楽しむことができるデイサービスがここにあります。