見直そう!「医行為ではない行為」
知っておきたい緊急時の対応「誤嚥・窒息」
高齢者に多く見られる事故は、命の危険にもつながります。日頃から介護の現場で予防するのはもちろん、いざというときの対応も身につけておくと慌てません。なお、介護職だけで判断せず、必ず医療職と連携しましょう。
高齢者は嚥下機能が低下して食べ物が飲み込みにくくなっているため、食物などが誤って気管内に入る“誤嚥”が生じやすくなります。誤嚥により気管(空気の通り道)が塞がれると、窒息する恐れがあります。また、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。
対処法
●異物が見えている場合は指で取り出すが、無理に指を奥まで入れると余計に異物を押し込んでしまうので注意する。
●意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶ。
●意識がある場合は、まず咳をするように促す。
●咳き込んでも取れず、苦しんでいる時は、背部叩打(こうだ)法やハイムリック法を行う。
ハイムリック法
[1]利用者を座らせるか立たせて、背後から両脇に両腕を回して抱き抱える。
[2]体を密着させ、片方の手で握りこぶしをつくって親指のつけ根側を利用者のみぞおちに当て、もう片方の手で握りこぶしを握り、みぞおち上部に向かって素早く突き上げる。
背部叩打法
[1]利用者を座らせるか立たせて、うつむかせる。
[2]胸かあごを手で支え、背中の肩甲骨のあいだをもう片方の手のひらで強くたたく。
※詰まっているものが出るまで行う。
監修/関 弘子
看護師として病院勤務を経て、短期大学、専門学校にて老年看護学を担当。千葉県看護協会、国際医療福祉大学看護生涯学習センターにて看護管理者教育に携わる。複数の病院にて人材育成およびマネジメントを経験。現在、株式会社Leap 取締役兼統括部長。医療・介護職向けの研修などを行っている。
イラスト/中村 知史