ヒヤリ・ハット&事故報告書
ヒヤリ・ハット報告書を書く4つの理由【1】
ヒヤリ・ハット事例や事故の報告書を書くことには、重要な意味があります。利用者、介護者、事業所のために必要であることを、ここでしっかりと確認しておきましょう。
“防げる事故”を防ぐため
介護の現場では、利用者が自分らしく生活しようとすると、転倒などの事故はある程度避けられないものですが、それでも防げる事故と防げない事故があります。防げる事故は介護中のミスによることが多く、ほかにも同じような事故が起きている可能性があるので、同様の事故であっても、そのつど報告書を書くことが重要です。それらを集計・分析し、データに基づいて対策を立てることで、事故を防ぐことができます。
利用者の転倒が多発(上図)
転倒や車いすからずり落ちたりする報告が増えるようになり、何らかの対策を講じる必要が生じました。
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食事前後が多いことが判明
事故が起きた時間、場所、内容を集計し、その傾向を分析すると、食事前後の事故が多いことがわかりました。そして要因も推測できました。
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人員配置を変え改善へ
食事前後は、配膳や下膳などで職員の目配りが不十分になることから、その時間帯にパート職員やボランティアを増員。利用者を見守る人が増え、事故は減少しました。
監修/高橋好美
特別養護老人ホーム レジデンシャル常盤台施設長。看護職、メディカルソーシャルワーカーを経験した後、社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。大田区立特別養護老人ホームたまがわ特養第一課課長を経て、2009年より現職。
文/高野千春 イラスト/岡村奈穂美