コミュニティの力を生かして
住み慣れた地域で最後まで[1]
再生された団地の一角にある「小規模多機能ぐり〜んはぁと」は、デイサービス、ショートステイ、訪問介護の三つを必要に応じて利用できます。住み慣れた地域と自宅でできるだけ長く暮らしたいという願いに応える施設の柔軟な取り組みを取材しました。
若者、ファミリー、高齢者の多世代が住む団地に開設された介護施設の役割
「小規模多機能」とは正式名称を「小規模多機能型居宅介護」といい、通い(デイサービス)、泊まり(ショートステイ)、訪問介護の三つを必要に応じて受けられる介護サービスです。定員の上限が29名というこぢんまりした施設で、利用者の状態や希望に沿って臨機応変に対応できる点が大きなポイントです。
「ぐり〜んはぁと」の管理者、土本亜理子さんは小規模多機能の利点をこう語ります。
「通常はデイサービス、ショートステイ、訪問とサービスが変われば事業所が変わります。対応するスタッフや空間が変わると、特に認知症の方はそれだけで混乱することがありますから、同じ場所で顔なじみのスタッフというのは、利用者にとっても家族にとっても安心です」
利用のしかたはそれぞれで、ケアマネジャーの五十嵐陽子さんいわく、「同じ要介護1でも、365日訪問し、安否確認と服薬支援を行っている独居の方もいらっしゃれば、ご夫婦二人暮らしで週1回だけ、布団干しやお風呂の掃除といった生活支援のために訪問している方もいらっしゃいます。料金は介護度に応じた定額制なので、どちらも同じです」。
「ぐり〜んはぁと」は隣接する住宅で暮らす人が優先ではなく、介護保険を利用する地域の高齢者に広く開かれた施設。まだ介護が必要でない住民や他の介護サービスを利用している住民とも一体感のある暮らしができます。
例えば、「ぐり〜んはぁと」の入り口のデッキで一緒にラジオ体操をしたり、食堂で開かれるイベントに参加したりといった交流が自然にできるのは、さまざまな人が集うコミュニティの中にある介護施設ならではのメリットといえるでしょう。