料理レク、こんな“工夫”で実現!~1日の利用者が多い施設の例
東京・江戸川区にある定員50名の大規模デイサービス「アゼリーアネックス デイサービス」には、500種類もの豊富なレクリエーションがあります。
なかでも力を入れているのが、料理レク。「料理をする人はしない人に比べ、認知症にならない確率が約3 .3倍高いと言われます」と、施設長の福原聡一郎さん。「レクを始める前に、利用者の皆さんにも効果を伝え、意識して取り組んでもらっています」。
とくに利用者が講師となり、出身地の郷土料理を作る「クッキングデイ~思ひ出料理教室~」は人気。講師役の利用者のやる気を引き出すとともに、初めて作る郷土料理にほかの利用者も刺激を受けるようです。さらに、子どものころや故郷を思い出すきっかけとなり、会話も弾みます。
司会者が、講師役を務める利用者を紹介します。今日の講師は2 人。「山形はどんなところですか?」「芋煮の思い出はありますか?」など、話を引き出します。人数が多くても、全員が主体的に参加できるよう配慮します。
アゼリーアネックス デイサービスの「クッキングデイ~思ひ出料理教室~」の工夫
1.役割の工夫
利用者に講師を依頼。うまく話せない人や認知症の人もスタッフがサポートして講師を務めてもらう。役
割があることで、誰もが意欲的になる。
2.メニューの工夫
講師となる利用者の出身地の郷土料理をメニューにする。今月の「思ひ出料理」は、山形の「芋煮」。
3.グループ分けの工夫
1つのグループに片麻痺(かたまひ)の人や認知症の人が偏(かたよ)らないよう、バランスよく配置を決める。活動の様子を日ごろからチェックし、相性のよい人を同じテーブルにするなど、臨機応変に対応する。
4.進行の工夫
調理の進行を各テーブルに任せることで、大人数でのレクにありがちな待ち時間をなくす。
5.料理の効果を意識してもらう工夫
手先を動かし、調理工程を考える料理は、認知症予防の効果があることを利用者に説明。意識しながら活動することで、より効果があると伝える。
写真/西山 航(本社写真部) 文/山本裕美