「思い」があるだけでは伝わらない
正しい「接遇」~「若い人は、元気でいいわね」に対する言葉
■ケース1
いつもは穏やかな初老の渡辺さん(仮名)が、明るく陽気に振る舞うあなたに対して、「若い人は、いつも元気でいいわね」と、不機嫌そうな表情で、語気を少々荒くして言いました。あなたは、渡辺さんに対して、どのような言葉を返しますか?
■ポイント
言葉を額面通りに受け取って、「元気だけがとりえですから」とか、「渡辺さんもまだまだ若いじゃないですか」と返しがちですが、気づいてほしいのは、渡辺さんの表情と語調です。“言語以外の表現”に、言葉とは裏腹な本音が隠れています。語気を荒らげるのは怒っているときです。さらに、不機嫌そうな表情もしていました。いつもとは違う反応に、「どうされたのだろう?」と、言葉の奥にある気持ちに耳を傾けることが大切です。
「私の声が騒がしかったですか。申し訳ございません」などの言葉を返すと、渡辺さんが今の気持ちや体調を話すきっかけになるかもしれません。言葉では表現しきれない相手の気持ちを理解することで、コミュニケーションはより深まります。
監修/大谷佳子
昭和大学保健医療学部兼任講師。介護の場におけるコミュニケーションについて研究。著書に『基礎から学ぶ介護シリーズ 利用者とうまくかかわるコミュニケーションの基本』(共著・中央法規)など多数。
昭和大学保健医療学部兼任講師。介護の場におけるコミュニケーションについて研究。著書に『基礎から学ぶ介護シリーズ 利用者とうまくかかわるコミュニケーションの基本』(共著・中央法規)など多数。