火も包丁も使って1日2回の料理レクを行うデイ【2】
手打ちそば班では、こね鉢にそば粉と小麦粉を入れてこねるところから。こね上がったら麺棒でのばし、たたんで包丁で細切り、ほぐすところまで行いました。「左手しか使えないから」と臆していた片麻痺(かたま)ひの利用者が、スタッフのアドバイスを受けて麺棒を使い、きれいにのばせて微笑むシーンも。
包丁を使う作業は、できる人が行います。火を使う時は、スタッフの1人が火から離れないようにして安全に気を配ります。
「認知症の高齢者が火や包丁を使うのは危険と思われがちですが、とくに女性は、手や体が覚えている作業なので機能が残っている方は上手にこなしています。今まで料理をしたことのない男性の利用者も、積極的に取り組み、家族に自慢しているんですよ」(宮田さん)
料理レクを行うようになって10年経つそうですが、包丁でかする程度のことが一度あっただけで、それ以上のケガや火傷はないとか。家では料理から遠ざかっている利用者も多く、「ここで料理をすることが、心身の活性化や自信につながる」と宮田さんはいいます。
料理は作業が難しい利用者にも火の番や味見など、何かしら役割があります。また、切り方が多少違っても味つけさえ間違わなければ、みんなでおいしく食べることができます。利用者にある程度任せられるのも料理レクの利点です。
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文/松崎千佐登 写真/小澤達也(Studio Mug)