医療的ケアの基礎知識
危険がいっぱい! 冬の入浴での注意点[1]
季節を問わず、転倒などの危険がある浴室。加えて冬には「温度差」という要因も加わり、より安全面での配慮が必要です。冬の入浴で注意しなければならない点を知っておきましょう。
入浴前のケアと注意
■温度差を減らす
温度差による血圧の変動が脳卒中などの引き金になることも。浴室や脱衣室は、入浴の前にエアコンだけではなく補助的な暖房器具などで暖めておきましょう。
また浴槽に張る湯は蛇口からではなくシャワーで注ぎ入れると、湯のしぶきが水蒸気となって浴室全体に広がり、温度を上げる効果が期待できます。浴槽に入る前には、浴槽に溜めた湯の上下の湯温の差をなくすために湯をかき混ぜましょう。
■水分補給を忘れずに
加齢とともに体内に保持される水分量が少なくなるため、高齢者は冬でも脱水症を起こす危険があります。特に入浴中は、血圧が変動する上に汗をかくことで血液の粘度が高まり、血管の詰まりを招きやすい状態になるので要注意。発汗で水分が失われるのに備えて、入浴前に水やお茶で水分補給をしておきましょう。
高橋好美
特別養護老人ホーム・レジデンシャル常盤台施設長。看護師、ソーシャルワーカーを経験後、社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。大田区立特別養護老人ホームたまがわ特養第一課課長を経て現職。複数の介護施設立ち上げを経験している。