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介助・ケア

利用者の気持ちを考えた認知症ケア[8]~排泄編

利用者の気持ちを考えた認知症ケア[8]~排泄編

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■自立と羞恥心に配慮した支援
利用者の自尊心を守るためには、自立した排泄ができるような援助を心がけます。まずは排泄しやすい環境を整えることが必要。トイレの表示はわかりやすいか、落ちつける雰囲気か、安全か、使いやすさはどうかなど、利用者の視点になって検証してみましょう。
 
また、排泄時の介助は本人ができない部分のみに留めます。例えば、ズボンが下ろせない人に対しては、ズボンを下ろすまで手伝ったら一旦個室から出て、排泄が済んだら声をかけてもらい、着衣を手伝うようにします。自立と羞恥心に配慮した支援の仕方が大切です。

■排泄パターンをつかみ上手に誘導を
排泄での失敗を減らすためには、先回りしたケアが重要。うまくいけば、利用者がいやな思いをすることが減り、結果的にケアにも余裕が生まれます。
 
まずは、利用者の残存能力を確認します。排泄動作がどこまでできるか、さらに理解力の程度や運動機能の状態などに応じて、支援法を検討します。
 
声かけやトイレ誘導が効果的ですので、生活の中でさりげなく行います。リアリティオリエンテーション(R・O)として、食事の前、入浴の前、レクリエーションの前などに行い、トイレに行くための意識づけをし、生活パターンとして定着させます。
 
また、利用者の排泄パターンの把握も大切です。何回ぐらい、どのようなタイミングで排泄があるかを観察します。これに合わせて、声かけの回数やタイミングを見計らうことができれば、より効果的な支援が可能になります。例えば、部屋を移動する際に「ついでにちょっと寄りましょうか」と声かけするなど、自然なかたちでのトイレ誘導に結びつけられます。
 
声かけや表示には、「便所」「ご不浄」「憚り」など、その人が日頃から使っている言葉を使用するとよいでしょう。

■たとえ失敗しても冷静な対処を心がけよう
しかし、スタッフがいくら気を配っても、利用者が排泄で失敗してしまうことは少なくありません。そんな時、「あら大変!」など声を出してしまったり、「やっちゃったね~」などと言葉かけをしたりしていませんか?
 
やれやれといった表情や態度で対処してはいませんか? スタッフにとっては思わず出てしまう言動ですが、利用者はそういった言動に敏感で、ひどく傷つけられているもの。このような対応がスタッフとの信頼関係を損ね、失禁や不潔行為の要因にもなることを忘れないようにしましょう。
 
排泄の失敗に対処するには、利用者のつらい心情に配慮することが大切です。本人にのみ聞こえるような声かけをしながら、その上で、淡々とした冷静な態度で速やかに対処します。

※六角僚子
東京工科大学医療保健学部看護学科教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。

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レクリエ 2014 7・8月号

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70-71ページに掲載ページに掲載

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