うまくいかないのはなぜ?
突然怒り出す認知症利用者への対応【後編】
暴言・暴力を防ぐ上手なアプローチの仕方
ポジティブな言葉を先に
声かけの冒頭には、相手がよい印象を持つような言葉を使用するようにします。入浴の場合であれば「気持ちいい」「あったかい」などの言葉を、強調して用います。
自分の感情を伝える
暴言・暴力に遭遇したら、本人の気持ちを量るとともに、自分が感じているつらさを話してみましょう。感情にかかわる言葉は感情記憶につながりやすいため、くり返すことで記憶にとどまり、暴言・暴力が収まることがあります。
まず目線を合わせる
話しかける時には、まず目線を合わせます。目が合ったら、相手が自分に注意を向けているということ。その状態で話しかけ、言葉でうまく伝わらない場合はジェスチャーを交えます。
言葉と同時に体に触れない
ケアの際、声かけと同時に相手の体に触れていませんか?認知症の人は言葉の理解に時間がかかるため、突然、体に触られたと思ってしまいます。声をかけたら、うなずくなど相手が理解するのを待ちましょう。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く~』など。
文/高野千春 イラスト/田上千晶