認知症ケアQ&A
認知症利用者の“サイン”を読み取ったら?
認知症の利用者の発するサインに気づいたら、ケアにどう結びつけたらいいのでしょう?カギは「段階を踏んで組織的に取り組むこと」にあります。
「1対1のケア」から始める
まずは自分のケアを利用者のサインに合わせられるように、1対1の関係を変えていきましょう。
利用者が感じている居心地の悪さや不快感が何なのかを推測し、様子を見ながらアプローチします。
2~3人でできることを探してみる
自分と利用者の関係をよいものにできたら、次はほかの介護者と協力してケアを行うことを目指します。協力者が多いほうがよい環境が保たれ、より継続したアプローチが可能になるからです。
しかし、どの施設にも長年続けてきたケアの方法があるもの。ケアのやり方を変えることは、組織の考え方を変えることでもあるので容易ではありません。歴史のある施設であればなおのことです。
成功事例を共有して介護者の連携を広める
利用者との関係が複数人のケアで変わってきたら、その人がどのようなサインを示し、介護者らがどのような考えでかかわったか、その結果、利用者がどう変化したかを事例として情報にまとめ、施設内で共有しましょう。
成功事例があると施設内の意識がまとまりやすくなります。これまでケアを変えることに慎重だった介護者も、意欲的になってくれることが多いようです。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く』著者。
文/高野千春 イラスト/祖父江ヒロコ